【通信添削】コロナ禍での学びを止めない――「群像」と「猫」にみる、筆圧による遠近表現の極意
皆様、こんにちは。「平賀美術倶楽部」の平賀です。
昨年のコロナ禍の折、当教室でもシニアの生徒様をはじめ、ご家族の健康を最優先にやむを得ず休講を選択される方が半数を超えた時期がありました。「そのような状況下でも、自宅で絵を描き続けたい生徒さんの想いに応えたい」とはじめたのが、期間限定の「通信添削サービス」です。
今回は、自由制作コースに在籍する大変お若い女性の生徒様が、ご自宅での復習として取り組み、郵送してくださった2枚の基礎課題(初心者コース3週目「群像」・4週目「猫」)をご紹介します。
1. 課題テーマ:鉛筆の「筆圧」で空気感と遠近をコントロールする
今回提出していただいた2枚の課題は、どちらもデッサンの根幹となる『鉛筆の筆圧を覚えること』が目的です。 まず1枚目の「群像」課題では、以下の2つの手順を踏んで作画を進めていきます。
●手順1: モチーフ写真から「遠景・中景・近景」に位置する人物を選び、画用紙に輪郭をトレース(転写)します。
● 手順2: 4B鉛筆の「太い線」のみを使い、筆圧の強弱だけで空間の奥行きを表現します。
* 【遠景】 筆圧の「弱」:淡く、空気の中に溶け込むように
* 【中景】 筆圧の「中」:標準的なトーンで
* 【近景】 筆圧の「強」:最も濃く、力強く
2. 「固有色」をあえて無視する理由
手前の人物からトーンを入れていく際、衣服の本来の色(固有色)は一旦すべて無視していただきます。全員を「逆光のシルエット」として捉え、まずは「遠くは淡く、近くは濃く(遠淡近濃)」という大原則を体得することを最優先するためです。
この課題で用いる「太い線の引き方」や「紙の目がつぶれるほどの最大筆圧の出し方」の具体的なテクニックについては、前回のブログで詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
👇【デッサンのコツ】鉛筆の筆圧を覚える――4週目の課題「猫の毛並みと立体感」
https://tokyo-kaiga.com/blog/20210505201116-789/
◎なぜ「太い線」で描くのか?
前回の猫の課題では、太い線が持つ「柔らかい質感」が体毛の表現に最適だとお話ししました。 実はもう一つ重要な理由があります。それは、雲や水、そして「影」といった、はっきりとした形を持たない曖昧な存在を描き出すためです。 影を細い線で描いてしまうと、まるで服の模様などの「物」があるように見えてしまい、画面のリアリティが損なわれてしまいます。だからこそ、輪郭を優しくぼかせる太い線が活きてくるのです。
3. 自宅学習で見事な開花、添削なしの満点💮
2枚目の「猫」の鉛筆デッサンをご覧ください。 群像課題と同様に、線の一本一本を確かめるように、非常に丁寧に、そして誠実に描かれている様子がありありと伝わってきます。
これだけテーマを深く咀嚼し、お一人で高いクオリティに仕上げていただけると、講師としては加筆添削の必要が全くありません。文句なしの、大成功です!💮
離れた場所にいても、画用紙と鉛筆を通じて生徒様の熱量と誠実さに触れられる。この通信添削は、私にとっても非常に励みになる素晴らしい機会となりました。
平賀美術倶楽部 平賀太朗
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