紫陽花の季節
三浦海岸のアトリエ近くには、白、オレンジジ、ピンクと色彩豊かなツツジが春を楽しませてくれています。
子供の頃、学校帰りにツツジの花の蜜を吸っていたことを思い出して吸い込んでみましたが、記憶にあるあの甘さを全く感じないのは土壌の違いか?いや、味蕾の老化なのだろう。
「今度娘に味を聞いてみよう」などと考えながら帰宅していると、紫陽花のがくが小さく顔を出していました。山アジサイが急に欲しくなり、その中でも最も好きな《紅(くれない)》をAmazonで注文し、今日鉢に植えました。
今回のブログは「アジサイの描き方」です。
我が家の紅がまだ咲いていないのでTOP画像の絵が旧作の青い紫陽花ですみません💦しかもスキャンで色が少し飛んでいます😓
アジサイは細かい造形が多いため、写実に描こうとすると画面をいじりすぎて汚くなってしまいがちです。また陰影のないモチーフは平面的になる傾向があります。本作は、『曇天の花を、最も簡単な工程で陰影に頼らずに色の輝きで見せる』がテーマです。
アジサイの表現は様々ありますが、今回は「シンプルなのに上手だな〜」と思わせる描き方です。
写真などで花が複数ある場合は、部分的に一輪だけ切り取って強調と省略を作る準備をします。
トリミングした画像内の情報(とくに葉、茎など)を極力排除することで、のちの着彩が楽になります。着彩を難しくさせないためには、鉛筆デッサンの段階で図形の省略を施す必要があります。
↑点を置く場所のイメージ。
↑真水を張ってにじませた図。
まず、画面全体にアジサイの印象を作ります。
真水を張ってから、乾かないうちにモチーフから感じる色を置きます。
●葉、茎(黄緑、緑、青緑)
=カドミウムグリーン、パーマネントグリーン、ビリジャン
●がく、花(黄緑、緑、水色、瑠璃色、紫)
=カドミウムグリーン、パーマネントグリーン、スカイブルー、ウルトラマリンブルー、バイオレット
塗り分けるのではなく、各図形を色のにじみでつなぎ合わせます。
この工程が絵を上手に見せる方法の一つです。
上図の上段は、各色を置く場所のイメージです。
各色の点描の数や面積を同じにしないように注意しながら、大〜小、粗〜密のタッチを置き、にじませます。
ここまでは「塗り分けない」でしたが次は「塗り分ける」です。
花の小さい粒に上記の色を塗ります。この時も各色の色数を同じにしないように点描をします。
TOP画像の作品のがくを見てわかるように、がくには葉脈のような白いスジがあります。このスジを残して真水をはり、乾かないうちにスカイブルー→ウルトラマリンとにじませます。
立体的に見せることがテーマではありませんので明暗はあまり作りませんが、遠近は意識します。遠くは淡い色を、近くは濃い色を置くと遠近が生まれます。
余白を贅沢に残すスケッチ画ですので、茎や葉などは消えゆくように所々すそぼかしで表現します。
すそぼかしはキワをぼかす技法です。
①洗った筆の水分を切る
②筆の軸を立たせ、穂を着彩の境目に押しつける。
③穂を上下させながら、横にもスライドさせる。
筆の穂先で色水を吸い取りながら、穂の根元で外側をほんの少し湿らせてにじませるこの技法は近々にブログで紹介する予定です。
・写真のままの形どり=着彩が難しい
・着彩をらくにしたい=省略が難しい
となりますが、写真に近いような写実を目指して着彩を難しくするよりも、“省略の仕方”を鍛えた方が上達が早くなります。
花は人気のモチーフですので教室《自由制作コース》内の課題で「花」をテーマに描く期間があります。今回とは別の表現方法もありますので、こちらもその頃にブログで紹介しようと思います。
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