【東京/大人の絵画教室】漢詩
↑井伏鱒二先生
前回のブログは、新しく教室に入られた中国のかたを紹介しました。
とても嬉しい入会は、「海外から」という喜びもありますが、「中国から」という喜びもあります。麻雀や食文化、人の優しさも好きですが、それだけではありません。
私の本棚には井伏鱒二の全集があります。『黒い雨』『山椒魚』 『屋根の上のサワン』などの代表作はもちろんですが、その中に井伏鱒二が訳した漢詩が多くあります。
それらを読むうちに漢詩の世界が好きになりました。
于武陵(ウ・ブリョウ810〜没年不詳)陝西省西安市の南郊。宣宗の時代848〜859に進士となりましたが、役人生活に見切りをつけて、書物と琴(きん)を手に各地を放浪し、晩年は洛陽の東の嵩山(すうざん)の山中で隠遁生活を送ったといわれます。
勧酒 于武陵
勸君金屈卮 君にこの金色の大きな杯を勧める
滿酌不須辭 なみなみと注いだこの酒、遠慮はしないでくれ
花發多風雨 花が咲くと雨が降ったり風が吹いたりするものだ
人生足別離 人生に別離はつきものだよ
この友人との別れの詩を、井伏鱒二は以下のように訳しました↓
コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
他にも好きな漢詩とその訳があります↓
田家春望 高適(コウセキ)
出門何所見 門を出でて何の見る所ぞ
春色満平蕪 春色 平蕪(へいぶ)に満つ
可歎無知己 嘆ず可し 知己(ちき)無きを
高陽一酒徒 高陽の一酒徒
門を出れば何が見えるか。若草の萌え立った平原は見渡すかぎりの春景色だ。
それにしても情けない、天下にひとりの理解者もおらぬとは、高陽の一酒徒たるこのおれさまを。
↑という訳を井伏鱒二は以下のように表現しています↓
ウチヲデテミリヤアテドモナイガ
正月キブンガドコニモミエタ
トコロガ会ヒタイヒトモナク
アサガヤアタリデ大ザケノンダ
井伏鱒二の世界も素敵だが、
この様な漢詩を作る詩人を多く生み出す文化、国も素晴らしい☺️
平賀太朗
〔東京の絵画教室/平賀美術倶楽部:水彩画、油彩画、アクリル画、パステル画、デッサン、その他様々な特殊技法が学べます。入会金無し。初日から手ぶらでOK。初心者のかたから経験者のかたまでお気軽にお問い合わせください。〕
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