【東京/大人の絵画教室】講師作品

query_builder 2022/09/17
ブログ
沈下橋

↑四国にある《岩間沈下橋》の絵です。


【沈下橋】は通常の【永久橋】とは異なり、大雨などで川が増水したときに水面下に沈む橋のことで、特徴としては欄干が無く、低く作られていて、橋が沈んだ際に流木などが橋に引っかからないようにしています。安価で壊れにくい橋です。
また、増水時でも流木などで川の水がせき止められることがないので、洪水になる危険も防ぐことになります。


本作は、霧吹きとサランラップを使用しています。
9/12のブログにサランラップの使い方を書きましたが、この絵でも同様の使い方で手前右側の木を表現しています。

真水を大量に使用する絵ですので、腰やコーティング(サイジング)の強い高級紙を使用しないと失敗します。

今回の水彩紙は『ラングトン』のコットン。
※水彩紙については8/15のブログを参考にしてください。
サランラップはもちろん『旭化成』です!(笑)



工程① 鉛筆4Bでデッサン

全体的に暗い色を使用しますので、線が消えないようにやはり4Bです。
水面などの曖昧なものや、木などの柔らかいものは太い線。遠景は細い線を主に使用します。



工程② ベースを作る。

色は最後まで2色しか使いません。
暗い緑(ビリジャン)暗い赤(クリムソン)補色どうしを混色し、画面全体を着彩します。



工程③ 雨や雪のようなムラ

ここで霧吹きが登場します。
画面(絵の具)が半乾きになったら真水をスプレーします。
水彩は、半乾きの状態で水滴を垂らすと雨粒のような斑点ができます。
勢いが強すぎると絵の具が流れてしまいます。
粒を大きくしたい場合は、車の初心者のアクセルのように、ゆっくりレバーを握ってください。

粒を作りたくない箇所は、もう片方の手で画面を隠して水滴がかからないようにしましょう。



工程④ 山

画面が乾いたことを確認し、奥の山から徐々に手前へと仕上げていきます。
山の裾野は水分を切った筆で色を吸い取りながらぼかします。

手前左の山は、一度真水を吹きかけてから濃い色を置いて、半乾きを待ち、再度スプレーしました。



工程⑤ 木

手前右の木はサランラップで描きます。
他より黒く見えるのは、クリムソンの割合をやや多くしているためです。
下部のぼかしは、大量の水をスプレーしています。


工程⑥ 橋

主役の沈下橋を描いて完成です。




大量の水、霧吹き、サランラップが大活躍です。
もう一つ伝えたいことは、“たった2色でも、濃度や混色の比率を変えるだけで深みのある絵に仕上がる”ということです。

パレット上に、大量に並べられた絵具を見ると興奮してしまう方も多いと思いますが、心静かに2色を選んで描いてみることもお勧めします。
必ず何か発見があるはずです。



平賀太朗

〔東京の絵画教室/平賀美術倶楽部:水彩画、油彩画、アクリル画、パステル画、デッサン、その他様々な特殊技法が学べます。入会金無し。初日から手ぶらでOK。初心者のかたから経験者のかたまでお気軽にお問い合わせください。〕

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