【東京/大人の絵画教室】生徒作品
今回の生徒作品は、ご自宅で描かれたもので、ペン(ピグマ)による透明水彩画です。
モチーフは旅行先ですが、カレンダーなどに使用されそうな、いわゆる景勝地ではなく、“なんでもないような風景を絵にする”という着想に心を惹きつけられました。
「ここの風景、素敵だな〜」という気持ちで選ばれたことがよく伝わります。
◎本作の線の優れた点↓
・ペンの太さを2種類用意し、表現を豊かにさせている。
・ためらう事なく引かれた線で、見るものを安心させている。
・緊張を崩すように、全ての線の角度が斜線で、垂直線もほとんどない。
斜線のリズム、統一感。
意図的に不正確な図形を配し、心地よいリズムで組み立てている。
・同様に、緊張をほぐす揺れるような線を用いている。
そして、着彩の筆使いに関しても、それらの生き生きとした線と呼応しあうように置かれています。
画用紙の隅々まで着彩する表現ではなく、余白を作る描き方、【スケッチ画】ですが、余白も含め、白の残し方が秀逸です。
モチーフにもよりますが、失敗例として、『せっかく画面の外側を白く塗り残したのに、着彩範囲が中央に広くなりすぎて軽さを生み出す白を潰してしまう。』ということがあります。
本作は、広く残した外側の白と中央に残された白の連絡が、『大〜少・粗〜密』でリズミカルに結び合っています。
固有色(そのものが持つ色)の選択もかなり考えられています。
特に皆さんに共通する危険な行為は、葉のグリーンの扱い方です。
純色を見ると興奮してしまい、周囲の配色やモチーフの佇まいを無視して鮮やかなグリーンを使用してしまうことがありますが、本作はその場所の雰囲気や建物などの落ち着いた色調に合わせて、彩度を下げた混色のグリーンを使用しています。
素晴らしい!
もちろん純色をそのまま使用してはいけないということはありません。
国、地域、季節、天候、表現したい気持ちなどに応じて純色を使っても良いわけですが、基本的に、「絵具は混ぜるためにある」と思ってください。
草、葉の緑の混色はどうすれば良いか?
答えは、
・補色(反対色)のレッドを少々混ぜる
・オーカー、ブラウン、アンバーなどの茶系を少々混ぜる
の二つが主です。
本作は、周囲にある建物の茶系を混植しています。
正解です!100点を差し上げます!
周囲にある色を混色することによって、茶系のお仲間になり、絵に一体感が生まれます。
計算し尽くされた一枚でもあり、
この場所に行ってみたいと思わせる一枚でした。
平賀太朗
〔東京の絵画教室/平賀美術倶楽部:水彩画、油彩画、アクリル画、パステル画、デッサン、その他様々な特殊技法が学べます。入会金無し。初日から手ぶらでOK。初心者のかたから経験者のかたまでお気軽にお問い合わせください。〕
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