【東京/大人の絵画教室】竹内栖鳳
↑《班猫》竹内栖鳳/1924(大正13)年作/山種美術館蔵
8/22、8/27のブログで
『江戸時代では日本に生息していない虎を生で見ることは出来ないため、実物を写生した絵師はいない。ほとんどは中国の絵画や毛皮、猫を参考にして描いた。』
というような内容を書きましたが、明治に入ると状況が変化します。
今回は、近代日本画家の先駆者、竹内栖鳳(1864〜1942)の作品をモデルに書きます。
↑まずはトップ画像の猫から。
こちらの作品は重要文化財であります。
飼い主の八百屋から譲り受けた猫ですが、江戸時代でもここまで猫をリアルに、むしろ実物よりも写実に“描ききった”絵師はいないと思います。
美術館で実物を見たときに、まず翡翠色の美しい瞳に吸い込まれました。
この瞳を愛らしいと思うかたもいるとは思いますが、他を寄せつけないロックオンの視線は、『蛇に睨まれた蛙』のその蛇がすくむような、 蛙<蛇<班猫 、という印象でした。
私も体が硬直していました(笑)
単体で、しかも無背景で絵を生み出すことは至難の業ですが、本作は、
・猫特有の柔軟性や、重心を感じさせる突き出た前足などによる、画面の動き
・細い線で緻密に加筆された毛の下にある、まだら模様のぼかし
このフォルムと不明瞭な表現のアシストがあってこそ、瞳が輝き、“幻妖のような猫”が仕上がったように思えます。
↑《大獅子図》竹内栖鳳/1902(明治35)年頃作/藤田美術館蔵
明治以降も虎などの姿を描いた絵師が多くいましたが、彼らが描いたものに、不自然な虎の姿はありません。
1900年のパリ万博視察のため渡欧した事をきっかけに、時間の許す限りヨーロッパを渡り歩いた竹内栖鳳は、英国やベルギーなどの動物園で初めてライオンを見ました。
本作の獅子も、動物園に足繁く通い、スケッチを繰り返したのちに描かれたものの一枚です。
これが実物を見た日本画家の本領です。
明治元年は1868年ですから竹内栖鳳は江戸時代に生まれていますが、古き慣習を打ち破ろうとした絵師です。
本作も、確かな裏付けの写実となると、ど迫力ですよね。
単なる写実ではありません。
絵としての極限の完遂です。
恐るべし日本画家!
↑《ベニスの月》竹内栖鳳/1904(明治37)年作/大阪・高島屋史料館蔵
ヨーロッパ各地を旅行した竹内栖鳳がベニスを訪れたことは謎ということですが、実物をよく観察する主義の栖鳳は行ったはずだと思わせる絵です。
モチーフの影響で、もはや西洋画ですよね。
新たな角度の表現、日本画の進化を試みた栖鳳の姿が本作に感じられますが、同時に、日本画の伝統を1ミリも捨てずに大切にしている彼の声が画面から聞こえます。
なんと!今年これらの作品が観られます!
【特別展】没後80年記念 竹内栖鳳展
・会期 2022年10月6日(木)〜12月4日(日)
・会場 山種美術館
・開館時間 午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
・休館日 月曜日(10/10は開館、10/11は休館)
観なきゃ損です。
私もまた作品群に会いに行くのが楽しみです。
平賀太朗
〔東京の絵画教室/平賀美術倶楽部:水彩画、油彩画、アクリル画、パステル画、デッサン、その他様々な特殊技法が学べます。入会金無し。初日から手ぶらでOK。初心者のかたから経験者のかたまでお気軽にお問い合わせください。〕
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