【東京/大人の絵画教室】生徒作品
今回は、昨日紹介したFさんの作品の添削例です。本作もご自宅で描かれたものです。
今回は、注意点と修正箇所が多いため、一旦作品を預かり、原画をコピーしたものに加筆添削をしました。
↑原画にトレーシングペーパーを重ね、注意点を書きます。
↑Fさんの原画です。
●奥行きを出すために、近景にもう1段階暗さが必要です。
●全体的に細かい具象のタッチが多いので、左の大きな木の抽象表現を具象に合わせます。
●主役や特徴的な形、目立つ形などを画面の中心に置くと、絵の動きが止まってしまいます。
私の教室では『日の丸構図』と呼んでいます。
「画面の隅々まで見てもらいたい」「脇役があってこそ主役が生きる」というのが絵ですが、中心だけに目が行ってしまい、鑑賞が固まってしまいますので、中心からずらします。
本作では、「減らす」方法もありますが、「左に足す」ことで、日の丸構図を回避させました。
●右側の舟は、主役の青い舟に対抗するかのような存在です。
例えば、芝居の舞台でも、主役が二人いる物語は見づらくなります。
「移動させる」「消す」「目立たなくさせる」という絵作りを考えましょう。
●色の中で最も輝く色は白です。
写真でも解るように、雲の写り込みの白が美しく輝いていますね。
その白を水面に復活させます。
また、この白を孤立させないように、舟や遠景にも白のリズムが必要です。
●画面の端は、無意識のうちに避けてしまう傾向にあります。
※本作下部
余白を作るスケッチ画の場合はよいのですが、端々まで着彩する場合は塗り残しが多いと、絵の広がりが狭く、窮屈になります。
↑加筆後の絵です。
原画をカラーコピーしたものにアクリル絵具で加筆しています。
・明暗の3段階を作る
・抽象か具象か、どちらかに合わせる
・主役を中心に置かない
・主役を邪魔する舟を消す
・白のリズムを作る
・端を避けずに塗る
↑明暗の3段階による奥行きがやや不足していますので、わかりやすく別紙で追記しました。
↑加筆前です。
明暗が不足しているか等を確認するには、目を細くして(薄目を開けて)見るか、もしくはモノクロ写真を撮ったり、モノクロコピーを出力することで、わかりやすくなります。
↑加筆済です。
明暗の3段階もそうですが、
「各トーンが孤立していないか?」
「各トーンの図形の大〜小、粗〜密がリズミカルに配置されているか?」
などの確認もできます。
この方法は、色に惑わされることがなくなるので、生徒さんにもお勧めしています。
今回の添削で良い素材を持参いただいたので、授業で他の生徒さんへのテストを試みました。
結果は、絵作りも考えながら自分らしい作品となりました。
次回は今回と同じモチーフ写真を使用して、手順と絵作り、木の表現について書きます。
平賀太朗
〔東京の絵画教室/平賀美術倶楽部:水彩画、油彩画、アクリル画、パステル画、デッサン、その他様々な特殊技法が学べます。入会金無し。初日から手ぶらでOK。初心者のかたから経験者のかたまでお気軽にお問い合わせください。〕
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