【デッサンのコツ】9種類の線を極める「小樽運河」――自然物と人工物を描き分ける技法

query_builder 2021/05/09
ブログ
小樽運河

皆様、こんにちは。「平賀美術倶楽部」の平賀です。

前回の「農村の家」に引き続き、今回の課題テーマもデッサンの重要な基礎となる『9種類の線を覚えること』です。

※農村の家
https://tokyo-kaiga.com/blog/20260906-2297/


奥行きがあり、水や山などの「自然物」と、石造りの倉庫や橋などの「人工物」が混ざり合うモチーフは、線の使い分けを練習する上で最も効果的な教材となります。




1. 鉛筆で作る「9種類の線」のおさらい

絵画的な表現力を生み出すためには、線の太さ(3段階)と濃さ/筆圧(3段階)を組み合わせた「3×3=9種類」の線を意識的にコントロールする必要があります(当教室では主に4B鉛筆を使用します)。



◎芯のつくり方と「太さ」の出し方

まずは鉛筆を45度に寝かせて持ち、サンドペーパーで削って「ノミ型(門松のような形)」にします。鉛筆の軸の角度を45度に保ったまま、軸をくるっと回して接地面を変えることで、3通りの線を自由自在に置くことができます。


* 太い線(削った面を密着): 水面、雲、雪、影など、形のないものや輪郭が曖昧なもの。柔らかい質感。



* 中間の線(芯のエッジ/側面): 万能選手。太い線と細い線のつなぎ役や補佐



* 細い線(芯の先端): 建物、窓枠、橋など、形が明確なもの。硬い質感。



◎筆圧による「濃淡」と遠近感

* 濃(強い筆圧): 最も暗い箇所、手前(近景)の要素 ※奥行きのある遠景には使いません



* 中(中程度の筆圧): ハーフトーン(中間色)、主に中景



* 淡(弱い筆圧): 明るい箇所、主に遠い場所(遠景)





2. 写真をそのまま描かない!「絵づくり」による画面の支配

セオリー通りに描くことも大切ですが、現実をそのまま写すだけでは絵として単調になったり、明暗のリズムが散漫になったりすることがあります。

小樽運河

上の画像2は、下書きを薄く目立たない線で整えた後、それぞれの要素に4B鉛筆で「太さ×濃淡」の線を入れた段階です。この状態は鉛筆デッサンとして進めるだけでなく、透明水彩で着彩するための「骨組み」としてもそのまま活用できます。


ここから光と影を入れて完成作(画像1)へ仕上げていく際、今回は以下のような「絵づくり(構図の再設計)」を行っています。

小樽のスケッチ

💡今回の絵づくりのポイント



* リズミカルな暗さの連絡: 暗い部分が孤立しないよう繋げ、暗い図形の「大・中・小」「粗・密」のリズムを作って画面を引き締める。



* 手前の街灯を思い切ってカット: 写真の手前にある主張の強い街灯は、視線を無理やり引っ張ってしまい、奥行きへの視線移動を邪魔するため排除(位置を小さく変えて配置するのも有効です)。



「窓やつららは硬いから全部細い線で描くべき?」と思いがちですが、すべて同じ線で描くと画面が硬く単調になります。モチーフに慣れてくると、こうした「あえて崩す」「絵づくりで画面を支配する」感覚がどんどん面白くなってきます。


おわりに

写真のように細部まで克明に描き込むスタイルも魅力的ですが、デッサン初心者の方には、まず「3段階の濃淡と太さ」を意識し、線の一本一本の味わいを感じさせる描き方を強くおすすめしています。
基本となる9種類の線を手に馴染ませて、自分だけの表現力を身につけていきましょう!

平賀美術倶楽部 平賀太朗

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